2024年に創業50周年を迎えた株式会社コスモスイニシア様は、1974年にマンション分譲事業を開始して以来、首都圏・近畿圏を中心に10万戸超のマンション、1996年からスタートした一戸建住宅分譲事業では4000戸超を供給してきた実績のある企業です。また、リノベーションマンションは、これまでに2500戸超を供給し、その経験を生かした不動産ソリューションを提供しています。
現在は、アクティブシニア向け新築マンション、シェアオフィスやアウトドアリゾート(グランピング施設)のほか、訪日外国人旅行者向けホテルなど、さまざまな商品を展開しています。
今回は、そんな株式会社コスモスイニシア様の賃貸事業部の皆様に、パレットクラウドの入居者アプリ『パレット管理』の導入経緯や効果、今後に期待することなどを伺いました。前編となる今回は『パレット管理』の導入経緯やトライアル導入を中心にご紹介します。
株式会社コスモスイニシア:https://www.cigr.co.jp/
一番は賃貸物件にお住まいの入居者さまの利便性向上です。
私たち賃貸事業部では、お客さまの利便性を高め、長期のご入居につながるサービスを提供したいという思いがあります。
日々、入居者さまからさまざまなお問い合わせをいただきますが、そのなかでお電話がつながらなかったり、連絡が行き違いになってしまったり、入居者さまにご負担をかけてしまっていると感じる場面がありました。
入居者さまのご負担を減らし、お困りごとを少しでも早く解決できれば、お客さま満足度の向上、そして長期のご入居につなげられるのではないかと考え、そのためにどうしたらいいのかを調べるなかで、入居者アプリに辿り着きました。
入居者アプリを導入すれば、いま以上にお客さまとのコミュニケーションを円滑にできるのではないかと考えたのが導入検討の始まりです。
『パレット管理』を選んだ決め手は何ですか?
賃貸事業部内のアイデアコンテストで「入居者アプリ」の導入を提案しました。粘り強くプレゼンを続け、プロジェクト化が実現。最終的な導入に向けた準備がスタートしました。
テスト環境を使用して、その利便性の高さを感じたのが一番の決め手です。弊社の賃貸事業部は業務内容によって複数のチームに分かれており、入居者さまからのお問い合わせも、お困りごとの内容によって対応チームが異なります。
そのため、アプリ導入にあたっては、入居者さまに適切なカテゴリでお問い合わせいただくこと、そしてそのカテゴリに適切なチームへ通知がされる仕組みが必要でした。
『パレット管理』では、入居者さまにFAQページを経由してお問い合わせいただけるよう導線を設定できるので、お問い合わせを適切なカテゴリに自動で振り分けることができます。また、カテゴリごとに通知先を設定できるため、お問い合わせ受付のスピードが上がり、社内でのエスカレーションの手間も省けて早期解決にもつながるのではないかと感じました。
また、パレットクラウドの営業担当の方のご説明、その熱意に心打たれたところもありますね。パッケージ商品を売り切るのではなく、ユーザーに寄り添って、より良くしていくという考えに魅力を感じました。今後お付き合いしていくなかで、『パレット管理』というアプリはどんどん良くなっていくのだろうと素直に感じたことも要因のひとつです。
貴社として最終的に導入に至った経緯を教えてください。
アイデアコンテスト当初の提案では『入居者さまの満足』という部分のみに力点が置かれていました。それは素晴らしいことですが、入居者さまの高い満足を追求するには、メンバーに今まで以上の業務負担を課すことにもつながりかねず、限られた人員のなかでどのように入居者さま満足を高められるかが課題だと感じました。
他社商品とも比較しつつ、『パレット管理』アプリ利用で代替・削減できそうな業務時間を試算し、最終的には『入居者さまの満足』と『業務効率化』の両方の実現ができるという結論に至りました。
他社様とも比較検討されて『パレット管理』の優位性はどこにあると感じましたか
システムとしての良さもさることながら、最終的にはパレットクラウドの営業担当の方が長期にわたって注いでくれた熱意ですね。いくらシステムが素晴らしくても、弊社に寄り添ってもらえなければ目的達成は困難です。
今後業務フローなども変わる可能性がありますから、長くお付き合いできる会社なのかという部分を重視し、数ある入居者アプリの中から『パレット管理』の導入を決めました。
導入プロジェクトの開始
「さまざまな部署からメンバーに集まってもらいました」
導入にあたり、どのようにプロジェクトを進めたのでしょうか?
私を含め、さまざまな業務に携わる10名のメンバーでプロジェクトチームを結成しました。
『パレット管理』は賃貸事業部の幅広い領域に関わるシステムです。各業務の目線でメリットやリスク、留意しなければいけない事項などを確認しながら導入の準備を進めていく必要があると思い、入居申込や受付、契約更新、お問い合わせ対応、解約など、さまざまな部署からプロジェクトに参加してもらいました。
メンバーの皆さんが感じていた業務上の課題を教えてください。
私は、プロジェクト参加時には解約業務を担当していました。
解約業務は、入居者さまから解約連絡をいただいてからの業務が非常に多いことが課題でした。
具体的には解約希望のご連絡が入ると情報をシステムに入力して解約申請のための書類を作成し、ダブルチェックを行い、入居者さまに書類を送付、そののちに返送があるかを確認するため、非常に多くの手間と時間がかかっていました。
特に書類作成とダブルチェックには時間がかかっていたので、『パレット管理』の導入を機に少しでも業務効率化が図れたらいいなと思っていました。あわせて、個人情報を扱う作業になるため、システム化することでヒューマンエラーによる漏洩リスクを軽減したいと考えていました。
私は主に更新業務を担当していました。
更新業務は毎月数百件の書類作成があり、その郵送費用もかかっていました。解約と同様に個人情報の取り扱いやチェックにも時間がかかっていたので、プロジェクトではその削減を目標に掲げました。
メンバーに選ばれたときから何をすべきか明確であり、『パレット管理』の利便性も魅力を感じたので、積極的にプロジェクト推進に携われました。
私は、入居中のお客さまからのお問い合わせに対応する部署に所属しています。Webフォームから長文のお問い合わせがきたときに担当部署の振り分け判断が難しかったり、電話連絡を取りたいという連絡がきてもお電話がつながらなかったりと多くの課題がありました。
また、そういったときにすぐ対応できないと入居者さまの不満にもつながるため、改善策がないかと日々考えていました。
「学びの多かった約600戸のトライアル導入でした」
トライアル導入を実施した背景を教えてください。
『パレット管理』導入で、「スムーズに業務フローがまわっていくか」「入居者さまからの各種申請やお問い合わせ対応において、狙った効果が得られるか」という2点を確認するためにトライアル導入を実施しました。その母数として、少なくとも500~600戸のサンプルデータは必要だろうと判断し、2023年2月から8ヵ月にわたって実施しました。
どのような基準で実施物件を選びましたか?
トライアル導入は、お問い合わせや更新、解約などの対応はもちろん、業務フローも含めた課題などの抽出が目的になります。そのため、お問い合わせの発生が予想される築年数が浅すぎない物件を中心に選定しました。また、単身者向けやファミリー向けの賃貸物件をミックスし、さまざまな入居者さまを想定しました。本番の本格導入を見据えて、さまざまな事象が起きる状況を作り出さないと結果が得られませんし、問題点やその対策も講じなければいけないので、物件の選定も、プロジェクトチーム内で検討して決めました。
トライアル導入の結果はどうでしたか?
本格導入がうまく進みそうな道筋が見えている今だから言えることですが、このトライアルでは日々の業務で発生する事象をすべて洗い出せなかったのが反省の1つです。
築年数、入居者構成、新規受託等、異なる特徴を持つ物件を数件選定してトライアル導入を行いましたが、それでも物件サンプルの絶対数が足りなかったことと、トライアル参加メンバーの担当業務に偏重があったことで、トライアル期間中に気づかなかった事象もありました。例えば、賃貸管理中のオーナー変更への対応は本格導入後にイチから検討しなおしました。今回の『パレット管理』導入を通じて、賃貸管理中の各事象の影響範囲と大きさに改めて気づかされました。
反省点もありましたが、これは本格導入に向けた大きな学びでしたし、成果として約600戸のうち約84%の入居者さまがアプリを利用してくださったという嬉しい結果が出たのはよかったです。
84%というのは非常に高い登録率ですね。どのような施策を行ったのでしょうか?
アプリ導入時に既に入居されている入居者さまに最初にご案内しただけでなく、その後も未登録の入居者さまに複数回SMSを送信し、アプリ登録は70%ほど。加えて新たに入居される入居者さまにもアプリ登録をご案内し、その登録率が90%以上。その合計が84%という嬉しい数値になりました。
このあたりは、プロジェクトメンバーの活躍に支えられた部分がありますし、パレットクラウドさんの登録率向上のための積極的な施策提案やご協力なくして、この結果は得られませんでした。この登録率がキープできれば本格導入でも成果が期待できるというモチベーションにつながりましたね。
後編では本格導入、さらに今後の展望についてご紹介します